再会したイケメン幼なじみは、私を捕らえて離さない。
「なんの音?」


涼真くんのお母さんの声と、こちらに向かってくるスリッパの音が聞こえる。


こんなの見られたら大変だよ!


「涼真くん、いい加減離して…」


引き剥がそうとしてもビクともしない。


そのうち、おばちゃんが現れた。


「きゃあっ!あの音まさか…階段から落ちたの?」


「正解~」


楽しそうな涼真くんの声が聞こえる。


「ほら掴まって」


「ありがとうございます」


おばちゃんが引っぱって起こしてくれた。


「痛いところはない?ごめんねぇ、涼真のこと頼んだばっかりにこんなことになって」


「いえ…あたしの不注意で…。落ちそうになったところを涼真くんが助けてくれたんです」


涼真くんを見ると、まだ床に転がっている。


「いつまで寝てるの?起きなさい」


おばちゃんが無理やり涼真くんを起こそうとすると、激しく痛がっている。

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