ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~


「よろしい。せいぜい頑張れよ? ――トア」

「トア?」

「あぁ、妖斗だと知り合いに会って勘づかれたりしたら困るだろ? それ、これでサインして」

 俺にペンを渡して、美桜さんは陽気に笑って言った。

「……はい」

「それじゃ、私はもう帰らせてもらいますね。じゃあね、妖斗」

 麗羅さんはそう言い、笑って去っていった。

**

 ――ガチャ。

「はぁー、クソだる。あいつやっと帰った」

 俺が契約書にサインをしていると、店内につながっていた門を開けて、オレンジ色の髪をした男が部屋に入ってきた。

「おー、紅葉(くれは)お疲れ。紅葉、こいつはトア。お前と相部屋にするつもりだから、仲良くしてやれよ?」

「あっそ、了解」

 ほんの少しつり上がった瞳が印象的なその男は髪を耳にかけて、興味なさそうに言った。

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