ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~
「よろしい。せいぜい頑張れよ? ――トア」
「トア?」
「あぁ、妖斗だと知り合いに会って勘づかれたりしたら困るだろ? それ、これでサインして」
俺にペンを渡して、美桜さんは陽気に笑って言った。
「……はい」
「それじゃ、私はもう帰らせてもらいますね。じゃあね、妖斗」
麗羅さんはそう言い、笑って去っていった。
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――ガチャ。
「はぁー、クソだる。あいつやっと帰った」
俺が契約書にサインをしていると、店内につながっていた門を開けて、オレンジ色の髪をした男が部屋に入ってきた。
「おー、紅葉お疲れ。紅葉、こいつはトア。お前と相部屋にするつもりだから、仲良くしてやれよ?」
「あっそ、了解」
ほんの少しつり上がった瞳が印象的なその男は髪を耳にかけて、興味なさそうに言った。