ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~
「じゃ、案内してやるからついてこい」
そう言って、美桜さんは歩きだした。
「紅葉さん、居ますか? 指名入りましたよ」
俺が美桜さんの後をついていこうとした直後、スーツ姿に黒髪の真面目そうな男が、店内に繋がるドアを開けて言った。
「え、嘘。さっきやっと終わったのに。……分かった。すぐに行く」
ゲンナリした顔で、紅葉さんは頷く。
「頑張れよ、紅葉。モテる男は辛いな」
「嫌味か。お前の方がモテてるだろ。――トア、飯上手くないとぶっ潰す」
「はっ、はい!」
低い声で言われ、俺は慌てて返事をした。紅葉さんはそんな俺を見もしないで、奥の門から店内に入っていく。
「トア、俺達が飯食うのは閉店してからだからまだ結構時間あるけど、紅葉の仕事ぶり、見てみるか?今後の参考に」
「……はい」