夏の記憶
祐希side

2年に学年があがり
クラスも変わった
野球部の蓮は1年の時も同じクラスで
なんだか変わった感じを感じられない

あ、古文の教科書忘れた、



幼馴染の詩音が3組だということを思い出した俺は3組に向かう
なぜか後ろには蓮

「、、、なんで着いてきてんだよ、」
「幼馴染見てみたい」


面白そうに後ろついてくる蓮を連れて
3組へ

「詩音」
「あ、祐希!」
パタパタとこっちに向かってくる詩音は、まるで幼稚園に親が迎えに来た子供のよう

「どうしたの?」

ニコニコと笑ってる詩音に、
「古文の教科書忘れた、貸して♡」
語尾に♡を付けて言うと
少し冷たい視線をさして見てくる

「180センチの男がそんな言い方しても何も可愛くない」
ぷーっと頬を膨らまし教科書を取りに行った

「はい、今日は授業中寝ちゃダメだよ」
まじ天使俺の幼馴染、神

詩音とは幼稚園に入園する前からの仲で家も1軒挟んでのご近所さん
親同士仲良くて、幼い頃からずっと一緒に育ってきた
そんな訳で、家族ぐるみでの仲という事を知らない周りの奴らからは
俺と詩音が付き合ってるのか?と聞かれることが多かった

詩音の兄貴は美形で、やっぱり血の繋がりって強いのかと思う程、詩音の家族は美形揃い
詩音も詩音でかなりモテる。
幼馴染の俺が言うんだから間違いねーよ

高2になった今、高嶺の花と言われる程だ

詩音の家族は皆野球に携わっている
お父さんは高校時代甲子園で名を轟かせた名選手
お母さんはその時のマネージャー
詩音の兄貴は5年前この学校を卒業した
野球部元主将

俺に野球を教えたのは
詩音の兄貴である 弘太 だった


詩音は吹奏楽で部活に力を注いでいる
小学生の頃から続けてきた音楽
楽器はアルトサックスで、中学の時から功績を残してきた

実力もあり、1年のうちからレギュラー入りだが、満身せずに練習に励んでおり、先輩達にも妬まれることなく可愛がられている
もう目に見えてそれがわかる

「祐希?」
「ん、あ、あぁ、教科書サンキュ」
チラッと俺の斜め後ろにいた蓮を見てみると頬を染めていた
「?」
そんな蓮を見つけて詩音は首を傾げた
「あー、前に話した蓮だよ」
「あ、えっと、一之宮 蓮さん」
「あ、そうっす、」
休み時間終了のチャイムが鳴り響く
ペコッと詩音は蓮に頭下げて
じゃあねっと俺らに手を振って詩音が教室の中に入ってくのを見送り俺らも教室に戻る

教室に戻るなり少し興奮した様子で俺の肩をゆさぶった

「おま、お前!幼馴染って女の子かよ!え、え?話したって、何を話したんだよ」
「喧嘩っぱやいって」
「おい」
「嘘だよ嘘。俺と今年レギュラー入りできた奴って」

俺らがいるこの高校は、強豪校で有名な高校。
野球、吹奏楽は全国的にも名を轟かせている名門校である
もちろん2年目でレギュラー取れるのもなかなかのレア
少ないポジションを100人以上の部員と取り合うもの
その事を知ってる詩音は
俺らがナインの入れたことを知った時自分の事のように喜んでくれた

「『凄いね!祐希も凄いし蓮君も!
早く夏になんないかなー!』ってさ。」
「、、、お前の幼馴染、名前は?」
「え?男の方?」
「え、お前男の幼馴染もいんのか。
ってそうじゃなくて!」
「月白 詩音。詩音って呼んでやって。」
「しおん、詩音ちゃん、」
「かわいいでしよ、うちの子」

こりゃ、惚れたな


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