最愛~一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました~
受付に行って、前に座っている若い女性に声をかけた。
「すみません。ここの院長の東雲広大の娘です。父が事故で運ばれたと聞いてきたのですが」
「院長の娘さん……。お待ち下さい。若先生に連絡を取ります」
『若先生』というのは多分兄のことだろう。
女性は兄に電話をかけて、受付に呼び出してくれた。
「香澄!」
白衣姿の兄が息せき切ってこちらにやって来る。
夜勤で家に帰っていないのか、ひげが伸びていて、顔も青白かった。
「お父さんの容態は?」
兄に駆け寄って訊ねるが、表情は暗く陰る。
「今はまだ手術中。うちに運ばれた時、肋骨多発骨折による血気胸・肝臓破裂・出血性ショックの重体で意識がなかった」
その説明に目の前が真っ暗になる。
専門知識はないが、かなり危険な状態だ。
ハーッと息を吐くと兄は続けた。
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