最愛~一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました~
「いろいろ今日中にやらなきゃいけないことがあってね。田辺君はなんで戻って来たの?」
苦笑いしながら彼に目を向けた。
田辺君……田辺悠馬は私の同期。
営業部だったけど、二年前に経営企画部に異動してきた。
百八十センチの長身に、アッシュブラウンの短髪。肌は小麦色に焼けていて、スポーツ万能。週末はいつも大学時代の仲間とテニスをしているらしい。
明るい性格でうちの部のムードメーカー的な存在だ。
「月曜は直出だから、資料取りに来たんだ」
田辺君は私の向かい側にある自分のデスクの上のファイルを手に取って掲げてみせる。
「そうなんだ。みんなに会ったらよろしく言っておいてくれる?ちょっと送別会いけそうになくて」
「行けそうにないって……大丈夫か?俺手伝うけど」
頭上からヌッと私のパソコン画面を覗き込む彼にブンブンと頭を振った。
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