最愛~一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました~
恐る恐る蓮見さんを見れば、時差ボケがまだ残っているのかぐっすり眠っている。
逃げなきゃ。
もうそれしか頭になかった。
自分の身体に巻き付いている彼の腕をそっと外して、ベッドを抜け出す。
床に落ち着いてる下着を拾い上げて身につけるが、自分の服がここにないのを思い出した。
彼が洗濯するって言ってたから……多分洗濯機の中に違いない。
やむを得ず、彼が貸してくれた服を着て寝室を出ると、一旦しゃがみ込んでフーッと息を吐いた。
心臓がバクバクで、このままここにいては息苦しくて倒れてしまいそう。
早く逃げないと……。
胸を押さえながら廊下を通り抜けると、玄関に置いてあった自分のバッグを掴かみ、靴を履いて彼の家を出る。
ダボダボの部屋着にパンプス。
変な格好だったが、気にしてなんかいられない。
なるべく人目につかないようにマンションを出て、すぐにタクシーを拾った。
< 41 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop