最愛~一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました~
私がポカンとしている間に、慧が自分のバッグと私のバッグを掴んで灯りを消す。
彼に手をひかれるように会社を後にすると、タクシーに問答無用で乗せられた。
「何が食べたい?」
乗ってすぐに聞かれたが、家に帰るつもりだった。もう夜の十時を過ぎているし、明日の仕事のこともある。
「あの……私は自分の家に」
ダメ元で伝えるが、彼は首を縦に振らない。
「ダメだ。離れるとまた他人行儀に接してくるから。で、何食べたい?」
……この人に勝てる気がしない。
「コンビニでうどんでも買って食べます」
諦めてそう答えた。
もう遅い時間だし、彼も会食で食べただろうから、どこかの店に食べに行くという選択肢は私にはなかった。
「すみません。高輪まで」
私の回答を聞いて、慧はタクシー運転手に行き先を伝える。
三十分程で彼のマンションに着き、彼が支払いを済ませて、タクシーを降りた。
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