最愛~一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました~
背は田辺君より高く、漆黒のウルフヘアで、端正な顔立ちをしている。
だが、スーツではなくツイードのブラックのジャケットに紺のデニムという出で立ちで、社員証もつけていない。
私の気配に気づいた男が、見ていたファイルから顔を上げた。
闇のように黒い瞳がキラリと光って私を捕らえる。
身体がゾクッとして……。
「キャ……んぐ!?」
金切り声を上げようとしたら、その男が素早く動いて私の口を手で塞いだ。
「しっ!怪しい者じゃない」
耳に響くその低音イケメンボイス。
ドキッとするも、身の危険を感じて後ずさろうとしたら、台車に勢いよくドンと躓いた。
「あっ!?」
よろける身体。
そのまま後ろのガラス棚にぶつかるかと思ったが、男が私の腕を掴んで、床にドタッと倒れ込む。
「危なっかしいな」
そう言ってホッとしたように息をつく男。
だが、私はパニックに陥っていた。
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