隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー
「だって、昔、付き合ってる時、
いつも梨架梨架って、梨架と私はここが似てるけどここが違うとか梨架と比べるようなこと沢山…っ」
「……。」
湊人が驚いたような顔をして一瞬黙り込む。黙り込んだと思ったら、いきなり車をUターンさせ、少し車を進ませてから近くのビルの駐車場に車を停めた。
「え、なんで車停めたの?」
「ちゃんと話したいと思ったからだよ」
そう言って湊人が車のエンジンを切った。
エンジンの音がなくなっただけで、周りから一切の音が消えたようで変に緊張する。
「…悪かった。 俺が付き合ってる時莉子に梨架の話を沢山してたのは、梨架と莉子は顔は同じでも別人で、莉子は莉子だってちゃんとわかって欲しかったからだった」
「…え?」
「お前、昔からずっと梨架の事気にして劣等感抱いてただろ。俺と付き合いだして、それがもっとひどくなっていってるのも分かってた。
顔が同じなのに、外交的で華やかな梨架の方が自分より優れてる。周りの人間はみんな自分じゃなくて梨架を選ぶ。自分は梨架に比べて空っぽで価値がなくて、自分が何なのか分からないって、ベロベロに酔いながら泣いてそんな事言ってて、相当重症だって改めて気づいた」
ベロベロに酔って、泣きながらそんな事…?
たしかに湊人の前で一度潰れる程酔った事があったのは覚えているが、その時にそんな事を言っていたなんて記憶全くない。
…でも湊人の口から出たその私の泣き言は、
当時の私の抱えていた悩みそのものだ。
それは当時だけでなく、今もずっと心の奥で変わらずに抱き続けているもので。
心の中の自分でも開けたくない鍵を無理やり開けられたような、そんな気持ちになって泣きそうになる。
「自分の事がわからなくなってた莉子に、俺は莉子の個性を教えたかった。
梨架と莉子は違う。梨架にはない莉子だけが持ってるものとか、梨架との違いとか、自分でちゃんとわかって欲しかった」
「……っ」