隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー

もしかして、もしかしなくても絶対、
石川部長勘違いしてる…?

「今朝コンビニに寄った時に見かけて買ったんだ」

「……。」

「うちの会社は副業禁止の筈だ」

「……。」

ビンゴ。
そういえば私は石川部長についこの間顔を見られていたんだったと思い出す。

ここに載っているのが私だと思われても無理はない。

「やっと分かったよ。西野が会社で息をひそめるようにして顔を隠してる理由。そもそもどういうスケジュールで生活してるんだ。ちゃんと睡眠はとれているのか?」

「いえ、あの…」

周りを意識してか抑えた声量で、
まるで娘のことを心配する父親のような声色で質問を重ねられ、一瞬言葉に詰まった。


「違うんです。西条梨架は私の妹であって、
私じゃありません」

凄い。
あれだけ周りにひた隠しにしてきた事を、
今私すんなり口にしてる。

…やむを得ない状況だからだけど。

「双子の妹なんです。」

そう付け加えると、
石川部長にため息をつかれた。

え、何のため息?


「西野、もっとマシな言い訳をしてくれ」

──まずい。

全然信じてない。

きっと石川部長の中で確信するための材料がそろっているんだ。

きっとあの夜に石川部長にしてしまったおかしな質問の数々も、私が西条梨架という事なら辻褄が合ってしまう。

西条梨架。
西野莉子。

梨架の本名とあまり変わらない芸名が、
そもそも私の名前に似ているのだ。
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