隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー

「でも社員証無いと困るよなー。どこかで落とした?心当たりとかある?」

オフィスまでの道を並んで歩きながらそう尋ねられ、昨日の記憶を辿る。

退社してから鞄から社員証を出した覚えはない。そもそも会社以外で使う事が無いし。

社員証をいつも入れているポケットにはチャックなんてものはついていないから、紐にくくっておいた社員証を繋いでいたストラップが切れて、そのままこぼれ落ちたとしか考えられない。
前にもストラップが外れてしまった事が一度あって、新しいのに替えようと思っていたのに遅かった。



「……あ」



───逃げるも何も、
今更話す事なんて無い…っ


不意に昨日の出来事が蘇る。
湊人に掴まれた腕を強く振り払った時。

もしかしてあの時の衝撃で…?
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