隠れたがりな君には、明け透けな愛を。ー番外編追加しましたー
「心当たりあった?」
「え?あ、いや…」
いやいやまさか。
そんなに激しく振り払った訳じゃなかった。
きっと家か車かに落っことしているに決まっている。
いや寧ろそうであって欲しい。
「家とか車とか、ちゃんと見てみる」
「うん、それがいいよ。
社員証無いんだったら、帰りも俺呼んでよ。
また扉開けるから、一緒に退社しよう」
助かる。
木嶋様々だ。
すぐに思わず首を縦に振ろうとしたが、いくら木嶋が優しくてもそんなに甘えてしまうのは申し訳ない……というか、あれっ?
「ありがとう。でも、確か退社する時は社員証かざさなくても退出は出来る筈だから大丈夫かな」
「えっ……そうだったっけ」
「うん」
木嶋ってやっぱり優しいんだな。
帰りの事まで気を遣ってくれるなんて、なんて出来た人なんだろう。
でも何故かものすごく木嶋の表情が曇ってしまって、対応に困った。
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そして、当たって欲しくはなかった予感は当たる。