独占欲強めな同期の極甘な求愛

「昨日から変だなーとは思っていたんです。だからだと思うんです」

そう言った後、私の目の前にぶら下げてきた請求書。パッと見た感じおかしな点は見つからないが、首を傾げる私に江頭さんは続けて言った。

「これ、全部一行間違えて数字打ち込んじゃったみたいで~。今朝課長に怒られちゃったんです」
「えっ、でもこれ今日の午前中までにやらなきゃいけない書類じゃないの?」
「そうなんですよー。でも私今日微熱があるから頭回らなくて」

……まさかと思うけど、私にやれと? 唖然としていると、江頭さんは額に手を当て私のデスクにうなだれた。

「白鳥さん、お願いできますー?」
「ちょ、待ってよ、私だって月末の仕事があるから無理だよ」
「そこをなんとか。だって私がやるより白鳥さんがやったほうが絶対早いですって」

そんな、ただでさえ経理部の仕事の半分を担っているのに。毎日猫の手も借りたいくらいなのに、尻拭いまでやれなんてはっきり言って無茶だ。

「悪いけど、無理。それに自分でやらなきゃ、江頭さんのためにもならないよ?」

冷たい先輩かもしれないけど甘やかしちゃダメだと自分に言い聞かせ、不備だらけの書類を突き返す。
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