独占欲強めな同期の極甘な求愛
「さすがに一人で帰らせられないよ。送って行くから待ってて。俺、荷物取りに……」
「いい、大丈夫。一人で平気」
「平気なわけないだろ。言うこと聞けって」
「だからいいってば」
臣に捕まれた手を必死意に振りほどこうとする。だけど臣は頑なに離そうとしない。どうして? 私と幼馴染だってことすら言うなって言うくせに。どうして構うの? 同情? それだったらいらない。そんなもの欲しくない。中途半端な優しさは余計に傷つくだけだよ。
「臣と私は住む世界が違うの。お願いだから離して」
そう声を荒らげたとき、
「白鳥さん、忘れ物……おおっと、お取込み中?」
どういうわけか、こっちを見据え首を傾げる三井さんが立っていた。
「み、三井さん」
「マフラー忘れてたから。でもなんかごめん。まずいところに来ちゃったみたいだね」
「ち、違います。そんなんじゃありません。わざわざありがとうございます」
スルリと臣の手から逃れると、三井さんからマフラーを受け取る。
「じゃあ俺はこれで。また明日」
三井さんは私と臣にそれぞれに目を配らせた後、手をポケットに入れ踵を返す。
「待ってください!」
だけど私はその腕を咄嗟に掴んだ。三井さんは驚いたような顔で私を見下ろす。