独占欲強めな同期の極甘な求愛
会社にだってマウンティングというものがある。底辺の私があんな華やかな場所に、足を踏み入れていいはずがないんだ。
「白鳥さん!」
足早に街中を歩いていると、誰かが後ろから追いかけてくる気配がした。
「待って、美麗!」
次に瞬間、臣だと確信した。こんな風に下の名前を呼んでくれるのは臣しかいない。だけどどうして? 私なんか追ってきたら、変な目で見られるよ? 噂たてられるよ?
「待てって」
聞こえないふりをしてひた走るも、あっさりと追い付かれ手を取られた。真後ろからは、臣の少しあがった息遣いが聞こえる。
「美麗、ごめん、俺……。全然気が付かなかった。美麗が来てたなんて」
「課長に頼まれて仕方なく……、だけどやっぱり私には場違いだった。身の程知れって感じだよね」
臣の心配げな視線の下で、目の奥がジンと熱くなるのを感じる。だけどここで泣いてはダメだ。
「臣戻って。みんなに変に思われるよ?」
私のせいで臣が変な風に噂をたてられるのだけは嫌だ。