独占欲強めな同期の極甘な求愛

こんな風に誰かに触られることなんて今までなかったから、体が誤作動を起こしたようにものすごい過剰な反応をしているのがわかる。穴という穴から汗が噴き出るような感覚。

「カラーもパーマもしたことないんだよな。てことは、生まれた時のまんまってこと?」
「生まれたときのままってわけじゃないと思うけど……」
「でも何にも染まったことがなくて、なんの混じり気もないわけじゃん。それってすごいよな」

言いながら手ぐしを通すように髪を何度もすくう。その度に首に髪があたり、ゾクゾクした。

「俺が切れって言ったら、切る?」
「えっ?」
「俺が色を変えろって言ったら、美麗はする?」

不意に問われキョトンとする。今日の臣はやっぱりおかしい。今迄そんなこと聞いてきたこともなければ、こんな風に触れてくることもなかった。いったいどうしちゃったんだろう……。

「美麗、答えてよ」
「……」

もちろん、臣がそういえば可能な限りそうするだろう。勇気がいるけど、臣が言うならきっと。

「……なんてな、変なこと聞いてごめん」

困っていると思ったのか、臣が先に声を発した。そしてすぐに答えられなかった私から視線をそらすと、触れていた手も同時に下ろした。その瞬間、沈黙が続く。聞こえるのは水の流れる音だけ。


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