イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛
「今泉君!ってか、此処はどこ!?」


焦った私は馬鹿な質問をしてしまったらしい。

彼はそれを訊いて一瞬息を吸い込み、直ぐに呆れたように苦笑しだして、「起きた途端にそれ?」と言って笑い始めた。


「此処は午前中に君が訪ねてきた病院。ファミレスの駐車場で倒れ込んだ君を運んで、点滴していたところ」


これを見ろ、と言わんばかりに指刺されて手元を見ると、細いチューブが肘間接に繋がり、その先は点滴棒へと延び、薄い黄色の液体が、ポトリポトリと一滴ずつ袋から垂れているじゃないか。


「これ、痛み止め。痛そうな顔で卒倒したから打っといた」


気分はどう?と言うから、さーっと血の気が引く。
彼に迷惑を掛けたり、気を遣わせたくないから嘘を吐いて店を出たのに……この体たらく?


ひぇーっ…と冷や汗をかいてももう遅い。
すっかりお世話になって、その上病院にまで運ばせてる……。


「ご、ごめんなさいっ!」


ぎゅっと肩を竦めるようにして謝ると、椅子に座ってる今泉君は唖然という感じで身動きもせず、でも、「はぁ…」と深い息を吐くと私の手首を握り、脈を測り始めながら、「まあ元気そうになって良かった」と声を発した。

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