恋は思案の外
ヒト科は物体Xに降格です





「なあ」

「……」

「なあなあ」

「………」

「お姉さーん」

「……」

「なあなあなあなあ」

「うざいカス遠い星に飛んでいけ」




ちっ、と忌々しいまでの舌打ちを混じてとうとう突っ込みを放ってしまった。

それを後悔する前に、目の前でパァッと幸せそうな笑みを浮かべたヒト科に最早どう接するべきかも判らない。

こいつこんなキャラだったっけ?連日の暑さに当てられて煩わしさがぐんと急上昇しているような気がするのだけれど。

いや、気がする、なんて曖昧なもんじゃないな。






「おねーーーさーーーん」







これはもう間違いなくレベルアップしている。

ポ○モンで言ったら軽く四天王レベルまで上り詰めている筈だ。

でもあれだ、最初に出されてチャレンジャーに打ちのめされるキャラクターだ。そんな結末。




「半径1メートル以内に寄るなって言ったよね?」

「それ今日は無効だろ?な?無効だろ?」

「なんで何回も言うんだよ!暑苦しいな!離れろヒト科ァアッ!」






今日も今日とてよれよれのTシャツに同じスタンスのハーフパンツ、壊れかけのレ……健康サンダル。そう、可哀相なあの子ですよ。

もういい加減買い替えてあげたらいいのにね。

あ、スウェットはさすがに夏なので控えているらしいですよ(わたしの知ったことではない)うんうん、暑いもんね。それは解るけれどヒト科のファッションセンス何とかして欲しいよね。







「なあなあ、お姉さん何観る?なに観たい?」

「なに、って言うか指定されてんじゃんソレ!むしろソレ以外観れないじゃん!」




そんなわたしたちが今居るのは、地元の小さな映画館だったりする。





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