恋は思案の外




なんでかって?それはこのヒト科星人に聞いてくだされよ。

この間のマラソン大会あったじゃないですか、それでね。その後もまあー大変だった訳で。



「………はぁ…、」



ほら、思い出しただけで頭痛が。

視界を占めるたくさんの映画にはしゃぎまくっている(何歳だよお前)ヒト科を尻目に、あの日のことが脳裏に浮上した。






       * * *






『ねえ!ちょっと、いい加減諦めなよ!恥ずかしくないの!?』

『諦めるわけねぇだろーが。お姉さんとの結婚が懸かってるんだよ?え?店長おおお!チャリは違反じゃないって証言してくださああああい!』

『浬さん……、あのね、自転車は反則だって僕も言ったよね?』

『ほら!店長もこう言ってるんだし諦めなって!』

『だってほらお姉さん、見てみろよ。俺の後ろ誰もいないよ?ゴーイングマイウェイだよ!?むしろぶっちぎりの一位で優勝だろォ!!』

『なっにがゴーイングマイウェイだよ完全に使い方間違ってるよソレ!!て言うかチャリで一位なんて当たり前だろ!?むしろ違反以外の何物でもないでしょうがあああ!!』




場所は、地元の商店街で長年お店を構えるオヤジさんがゴールテープを引っ張っているど真ん中。

勿論あのままチャリで爆走していたヒト科はスタッフ皆に「駄目だよ」「ほら、浬さんチャリに乗ってるだろう」と窘めを受けていた。


そんなの当たり前じゃん。むしろマラソン大会にチャリを持ち込む邪《よこしま》な輩に優しく声を掛けてあげるなんて皆さん良い人すぎるじゃん!


チャリ屋の主人は意外にも顔が広いらしく、声を掛けてくる人みんながヒト科の名前を知っていることにわたしは驚いたのだけれど。





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