またきっと君を好きになる。


すぐに連絡を貰ったおばさんたちが駆けつけた。

おばさんたちがお医者さんから説明を受けている間、俺はとものそばに腰掛けて、ともの頬を撫でた。


赤みを帯びた頬。


少し前までの生気を失ったような顔色ではない。喜ばしいことなのに、心から喜ぶことが出来ない。



「優一くん」


戻ってきたおばさんたちが俺を呼んだ。

いやだ、聞きたくない。認めたくない。



────灯里、記憶がなくなってしまったみたいなの。




走馬灯のようにふたりの記憶が駆け巡った。

優くん、優くん。

俺を呼ぶ優しい声が響く。


< 39 / 55 >

この作品をシェア

pagetop