恋しくば
驚いて、あたしの手が止まる。辻本はプリントを集めてくれた。
「……これ」
ひらりと見せられたのは一枚の紙。受け取れば良いのだと思って手を差し出すけれど、それはあたしの手に渡らなかった。
「葛野、大学辞めるのか?」
「……え」
その紙は退学届だった。
こんな時に見つかるのは面倒だった。昨日のこともあって気まずいという思いは辻本にはないのか。あたしは咄嗟にそれを奪う。
ぐらりと、身体が傾いた。
壁に肩をつけて蹲る。視界がぐらぐらしていた。退学届に皺が入っている。
もう、なんか、限界だ。