元社長秘書ですがクビにされたので、異世界でバリキャリ宰相めざします!
あれからライヒシュタット公は懸命に生きたのだという。
一時体力が大きく回復したときには、皇帝陛下に頼み込んで再び閲兵式にも参加し、今度は最後まで指揮を執ったのだとか。
それからプロケシュ少尉もボローニャから会いに来てくれて、とても喜んだそうだ。
「パルマ公も……フランソワのお母様も、会いに来てくださったのよ。あの子、涙を流して喜んでいたわ」
「そうですか……。じゃあ彼の望みはみんな叶ったのですね。僕の果たせなかった約束以外は」
力のない笑顔を浮かべれば、ゾフィー大公妃はそんな私の頬を優しく撫でて笑った。
「プロケシュ少尉にもパルマ公にも会いに来るようお手紙を送ったのはあなたでしょう? 申し訳なく思わなくていいのよ。それにきっと間に合ったわ。身体は眠りについたけれど、フランソワの魂はきっとあなたが帰ってくるのを待っていたはず」
そのとき、窓の外で木の葉が揺れる音がした。
ふたり揃って窓に目を向けると、一羽の鳥が飛び立っていくのが見えた。鷲の血を引くヨーロッパハチクマだった。
ゾフィー大公妃はその鳥を目で追いながら窓際まで歩いていき、大きく窓を開ける。
そして雨上がりの空に羽ばたいていく翼を眺めて、ポツリと零した。
「ひとりで飛び立っていっちゃったわ。いつかふたりでここを逃げ出そうって、約束したのにね」
無邪気な少女のような顔で、彼女は泣き顔のように微笑んだ。
柔らかに丸みを帯びた自分のお腹を、大切そうに手で撫でながら。