元社長秘書ですがクビにされたので、異世界でバリキャリ宰相めざします!
 
1823年、五月。

私は皇帝陛下の承認でついに正式な宰相秘書官になることができた。

あちこちの社交界で顔を広め、ヴェローナ会議のような重要な場にも同行させてもらえたおかげだ。そして何より、私を強く推薦してくれたクレメンス様の力が大きい。

この時代のオーストリアに内閣制度はなく、皇帝陛下の下には宰相と外相と蔵相しかいない。はっきり言ってヨーロッパ諸国の中でもかなり遅れた政治体制だとは思うけれど、おかげで異国から来た私でも強力な後ろ盾さえあればこのように官職に就ける訳だ。

「オーストリアのため、敬愛する陛下のため、この身を賭して職務に当たらせていただきます」

就任の報告が届いた私は、ホーフブルクの本宮殿に赴いて皇帝陛下に就任のお礼のための謁見をしてきた。

相変わらずフランツ一世陛下は傲慢な態度をとるでもなく、「よく励むように」と落ちついた態度で私を激励してくださった。
 
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