敵国騎士と命懸けの恋
王家に生まれたからには政略結婚をして、国のためになりなさい。それが両親の願いであったし、6人の兄と姉もそれに従った。
けれど私は好きでもない人の元に嫁ぐことが腑に落ちなくて、幾度となくセッティングされたお見合いを蹴り散らした。
顔を合わせてもこの人じゃない、そう直感が叫んだのだから仕方ないよね。
様々な教育を受けてきたけれど、礼儀作法や言葉遣いを含めて姫らしく振舞うことに違和感を覚え、
周囲の反対を押し切り、私は乳母の家にお世話になった。つまり、まぁ家出ってとこかな。
身分なんて関係なしに街に繰り出し、気さくに接してくれる仲間もいる。
父や母の望む姿にはなれなかったけれど、私は幸せだった。
あの瞬間まではーー
「おい、」
乱暴に身体を揺すられ、重い瞼を開ければ間近に迫る顔。
「うなされてたぞ」
私が意識を取り戻したことを確認して素早く離れた颯真の声を聞き、ひどく安心した。
「起こしちゃった?ごめんなさい」
ベッドサイドの灯りをともすと、颯真の顔がよく見えた。