敵国騎士と命懸けの恋

自身のベッドに戻っていく颯真から返事はなかった。

いくら傷を負った騎士といえど、疲弊した私が敵う相手ではないと言うことだろう。


乱れた服を整えて、目を閉じる。


「もし貴方が止めてくれなかったら、私、どうなっていたのでしょう。あんな奴に…」


「……」


「助けてくれてありがとう。貴方には感謝すべきことばかりです」


「飛護国王はおまえをからかっただけだ」


「…次、もし同じようなことがあったら、私を助けてくれますか?」


敵国の騎士になにを言っているのだろう。彼にも立場があるだろうに。


「なんて、言ってみただけです。忘れてください」


カーテンを引く音が聞こえた。
私も目を閉じる。

なんだか疲れてしまった。


「俺の目の届く範囲に居さえすれば助けてやる。だから逃げるなよ」


「…はい」


颯真の紡ぐ言葉には嘘がないと理由もなく信じられて、彼のような騎士が傍に居てくれたらーー私が王宮を出ることはなかったのかもしれない。

< 14 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop