敵国騎士と命懸けの恋
自身のベッドに戻っていく颯真から返事はなかった。
いくら傷を負った騎士といえど、疲弊した私が敵う相手ではないと言うことだろう。
乱れた服を整えて、目を閉じる。
「もし貴方が止めてくれなかったら、私、どうなっていたのでしょう。あんな奴に…」
「……」
「助けてくれてありがとう。貴方には感謝すべきことばかりです」
「飛護国王はおまえをからかっただけだ」
「…次、もし同じようなことがあったら、私を助けてくれますか?」
敵国の騎士になにを言っているのだろう。彼にも立場があるだろうに。
「なんて、言ってみただけです。忘れてください」
カーテンを引く音が聞こえた。
私も目を閉じる。
なんだか疲れてしまった。
「俺の目の届く範囲に居さえすれば助けてやる。だから逃げるなよ」
「…はい」
颯真の紡ぐ言葉には嘘がないと理由もなく信じられて、彼のような騎士が傍に居てくれたらーー私が王宮を出ることはなかったのかもしれない。