敵国騎士と命懸けの恋
「たかが下級騎士の俺に期待するか?」
「そうね。万が一私を助けようとして貴方まで命を落とすようなことになったら、私は死んでも死にきれないと思うから…死ぬ直前まで、私のお喋りの相手になってくれれば良いわ。他国で孤独に命を落とす姫の最後の願いを頼まれてくれる?」
「俺に話し相手になれと?嫌だね、面倒くさい」
「それじゃぁ早速、颯真さんの家族の話を聞かせて」
「……」
眉を潜めた颯真に笑い掛ける。
「私のことも聞きたいことがあったら遠慮なく…」
「興味ないよ、おまえのことなんて」
ニコリともせず真顔で告げられて。
胸が痛んだ。
そうだ。
魁王国の誰もが私に興味がない。
たまたま医務室で知り合っただけの騎士になにを期待していたのだろう。
「へぇ、そういう顔もできるんだ」
ベッドの上に片膝をついた騎士は意地悪く言った。
「傷付いてます、って顔してる」
無神経だ。
魁王国で唯一、まともに話せると思った男に突き放されて落ち込むなという方が無理だよ。
「傷付くなよ、俺の言葉ひとつで」
身勝手な人。
死を直前にした女の子に優しくできないのかしら。まぁもう女の子っていう年でもないか…。