敵国騎士と命懸けの恋
がっかり、か…。
溜息とともに放れた手をーー、動く左手で捕らえる。
「無責任なことを言わないで。私を殺そうとしている国王直属の騎士に、生きたいと訴えてどうなるの?なにか変わるの?」
私は貴方を困らせたくないだけ。
生きたいと叫んだところで、貴方の立場ではなにもできやしない。
掴んだ手に力を込める。
「貴方は私に逃げ道すら教えてくれなかったでしょう。私は、敵に、弱いところは見せたくないわ」
「その敵の命を救ったのは、誰だよ」
颯真も力を入れ、ギュッと私の手を握った。痛いほどに。
思わず手を放しそうになったが、彼はそれを許さなかった。
「救ってないわ、余計なことをしただけよ…放して!」
「放さない。あんたが"生きたい"と言うまで、放さない」
「…颯真さんに助けを求めてどうしろと言うのよ」
もう止めてよ。
無性に泣きたくなった。
颯真に意地悪をされて哀しいのか、理不尽な世の中への悔しさなのか、分からないけれど、我慢しきれずに涙が溢れた。