別れても好きなひと
耳元で吐息が聞こえる。

「やっとつかまえた。もう逃げられないよ?」

苦しい。みしみしと絞められた首が悲鳴をあげる。痛い。大悟!大悟…。

そんな中でも大悟がもしもこの男に襲われたらどうしようと考える自分がいた。これで私が死んだら助けに来た大悟が苦しむことになる…とも考えるとやっぱり負けられない…。

「いてっ!」

必死に私が爪を立てて男の手をほどこうとすると男の指から血が出た。一瞬、私の首を絞めていた手が離れた。

急に酸素が肺に送られて咳き込みが止まらない。
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