別れても好きなひと
「あれだけのことがあったんだ。忘れるなんて無理だろ。人間忘れたいと思うことほど忘れられないしさ。でも思い出したときにどん底に落ちる前に俺を頼れよ。莉子が頼ってくれる限り俺は莉子を守る。二度とあんな怖い思いさせない。」

私は頼っていいのか、心配かけていいのか、離婚した私たちの距離感がわからなくて返事が返せない。

「莉子。俺たちは確かに離婚した。でも結婚をやめただけで俺はまだ家族だとも親友だとも仲間だとも思ってる。全部の繋がりを切った訳じゃない。そのために離婚した訳でもない。綺麗事じゃなく俺は気持ちまで莉子から離せない。だって俺たち、物心ついたときから一緒だったんだぞ?3年でゼロになんてできっこない。」

幼馴染みだった私たちは人生の9割以上の時間を共にしてる。大悟の言葉が響いた。
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