うそつきペン

「えぇ。よくここの喫茶店で祖母の手伝いをしてたの。その祖母も先月亡くなってしまって、このお店も売ってしまおうかっていう話が出てたのよ。

だけど私は祖母との思い出の場所をどうしても残して置きたくて、こうして文具店として再生させたの」


女性は嬉しそうな表情で語った。


それだけでも祖母への愛情が十分に感じられた。


その話を聞いた後で店内を見回してみると、幼いころの女性と見たこともない女性の祖母も様子が目に浮かんでくるようだった。


「とても素敵な文具店でしょ」


ツグミが自慢げにそう言って来た。