うそつきペン

女性は人懐っこい笑顔を浮かべると「元気な学生さんね」と、ほほ笑んだ。


微笑むと女性の頬にはえくぼが見えて、５歳ほど幼い顔立ちになった。


「このお店喫茶店みたいですね」


人見知りを知らないツグミが女性へ向けてそう訊ねる。


「えぇ。ここは昔私の祖母が喫茶店をしていたの。その名残をそのまま使わせてもらってるのよ。このエプロンなんて、祖母が現役時代に使っていた物なの」


女性はそう言い、自慢げにエプロンを見せて来た。


だからエプロンには『喫茶店』と書かれていたのだろう。


「お婆さんの喫茶店が好きだったんですね」


あたしは店内を見回してそう言った。