彼女のセカンドライフ

だから、各々の自己紹介の時も、武尊は女性陣をチラリと見る程度で、彼女達の顔や姿も記憶に留めることはなかった。

それから自己紹介も終わり、三対三の合コンは本格的に始まった。
 
文利達が、調子に乗って相手の女性達と喋っている間も、武尊一人だけ黙々と食事をしていた。

向かいに座る女性の視線が、自分に向けられている、やけに気になったが、

「ご馳走食べたら速攻帰る!」武尊ははじめから決めていた。

しばらく経って、食べ終わると武尊は、横に座る文利に、

「じゃぁオレ帰るわ」耳打ちして、そっと席を立ってその場から去って行った。

店から出ようとしたその通路で、化粧室から出て来た一人の女性と出くわす。

「あら? もう帰るの?」

「……!?」見知らぬ女性から、声を掛けられて驚く武尊。

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