別れの曲
「更新を待っていました。俺も今日のランチはハンバーガーとフライドポテトにしようかな」
 
 とりあえず、コメントを残してみる。あまり気の利いたコメントを残せない自分に、いつものように、もどかしくなった。5年間続けているのに、なかなかうまくならない。あと5年続けたら、少しはうまくなるだろうか。その前に、たぶん彼女は日本に帰ってきている。
 
 そのときは、きっと、お互いに胸をはって会えるだろう。彼女は、自分の夢を叶えるために、アメリカへ行った。彼も、彼女に出会ったことがきっかけで、一歩を踏み出すことができたのだった。そして、今がある。今の自分なら、なんの迷いもなく、素直な想いを伝えることができる。次に会うときが楽しみだった。
 

 それまで、彼は気の利かないコメントを書き続けるだろう。そして、再開したとき、彼女に馬鹿にされるのだ。「なによ、あのコメント」と。

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