先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~

「随分喉が乾いてたんだな。だいぶ喘いでたもんな」

「もう!航さんのバカ!」

羞恥心が襲って全身が熱くなる。

「誰がバカだって?ん?」

上機嫌で面白がって私をからかう航さん。
寝室に連れてかれキスをされると、あっという間に甘い雰囲気になりまた抱き合った。
時々「いてっ」と言いながら顔をしかめるから、それが可笑しくてクスクス笑ってしまった。

・・・・・

はっ、いけない!
余計な事まで思い出してしまった!

ぼーっとしてして手まで止まっていた。
とにかく、あの次の日、念を押して午前中有給を取ってもらって朝病院に送り出した。
案の定、私の予想通り航さんの左手首は打撲と捻挫で全治3週間という重症だった。
ヒビが入ってないだけましだけど。
その夜私が航さんを怒ったのは言うまでもない。

手首が治るまで腕時計は出来ないけど、この時計どうしよう。壊れてしまったし、修理という手もあるけど…

…そうだ!
誕生日のプレゼントは腕時計にしようかな。
助けてくれたお礼もかねてちょっと奮発しよう!
手首が治って腕時計が出来る頃にちょうど誕生日がくるし!

「ふふふ~ん~♪」

何を贈るか決まってブランドは何がいいかな~なんて思いながら上機嫌で掃除を再開した。

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