先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~

それから家に着いたのは10時過ぎ。
お風呂に入って寝る支度をして、今は11時半。
ベッドで正座してスマホを前に唸っている。

「うう~ん、電話しようか。もう寝てるかな?それともお付き合いで飲みに行ってるかな?」

午前0時に誕生日のお祝いを言いたいと思っているけど今は出張先だし、相手の方と出掛けてたら迷惑かな?でも声聞きたい、直接おめでとうって言いたい…。

ウンウン悩んで結局メールにした。
話すのは直接会ってからにしよう。
私の今の精一杯の気持ちをを込めてメールにして送った。
返事くるかな?とベッドでゴロゴロしながら待ってたけど寝てしまったようで、次の朝、航さんからメールが届いていた。送信時刻は午前3時近く。
こんな時間まで、きっと飲みに行ってたんだ。

[ありがとう。もうすぐ帰る、待ってろよ]

航さんらしい簡潔なメール。でも嬉しい…。
ニマニマしながら出勤の支度をした。


今日ある店から電話があり、仕事を定時に切り上げ帰りに寄った。
頼んであった腕時計。
今日の誕生日に間に合って良かった。
航さんは明日帰ってくるけど…。

これから食材を買って仕込みをして、明日誕生日のお祝いをしなきゃと張り切っていた。
ふと、通り過ぎようとしたショーウィンドウに目を奪われて立ち止まる。

「素敵なウェディングドレス…」

レースをふんだんにあしらったプリセスラインの真っ白なドレス。
自分が着ている想像をしてみる・・・。
隣には真っ白なタキシードを着たカッコいい航さん…。うん!航さん絶対似合うはず!
フフンと一人上機嫌で歩き出した。

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