先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~

「俺は弟の海斗(かいと)よろしく」

この人が弟さん…。
ニコッと笑う海斗さんは細身で、航さんとはまた違ったきれいな顔立ち。丸い目と優しそうな笑顔がお義母さんに似ている。

「は、はじめまして。航さんとお付き合いさせて頂いてます。松崎花笑と申します」

気後れしながらも挨拶し頭を下げた。

「さあ、挨拶はここまで!せっかくのお祝いだから飲みましょう!」

取り仕切るお義母さんに乗せられて、昼間だけどお祝いだからと高そうな日本酒を注がれる。
アルコールの強そうなお酒、大丈夫かな?
乾杯!とグラスを合わせ一口飲むと辛さの中にまろやかな甘さがあってとっても飲みやすかった。

「美味しい………」

そう言ってもう一口飲もうとしたら、航さんにグラスを取り上げられた。

「あっ…」

「花笑はもうやめとけ。飲みやすくてもこれはアルコール強いからすぐ潰れるぞ。」

ああ、せっかく美味しかったのに…。
じとっと航さんを睨むと、苦笑いの航さんは耳元に近寄って、

「潰れて醜態晒したくないだろ?」

と、一言。
ハイ、その通りです…。諦めてしゅんとした。

「お袋、花笑は飲めないんだ。お茶か何かにしてくれ」

「あら、そうなの?一緒に飲めると思ったのに残念ね。今お茶用意するわね。」

「す、すいません…」

「ふふっいいのよ。うちは酒豪ばっかりだから。ただ飲みたいだけなのよ。さっ食べて。」

< 178 / 272 >

この作品をシェア

pagetop