先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~

「俺の嫁さんの明子。で、こいつが息子の章矢(しょうや)。せっかくだからこれから仲良くしてやってよ。」

「花笑です。よろしくお願いします。貴章さん結婚してらしたんですね」

「よろしくね。でき婚だけどね~」

あっけらかんと笑う明子さんは茶髪のロングヘアでイケイケのお姉さんという感じ。貴章さんと並ぶと似た者夫婦とわかる。同じ高校の先輩後輩に当たるという。ということは航さんとも同じ学校。ちなみに明子さんが1つ上の姉さん女房だそうだ。

「明子とは遊び仲間の一人だったんだけど~。ま、出来ちまったから俺も年貢の納め時かと思って」

「何を言うか。今から明子が泣かされるのが目に浮かぶ…」

「うっさい!今は明子一筋なの!お前の方がモテまくってたくせに!花笑ちゃん、こいつに泣かされたらいつでも俺に言って来いよ!俺が鉄槌を喰らわせてやる」

「お前こそうるさい!俺だって今は花笑だけだ!」

二人のやり取りに呆気にとられぽかんと見ていたら、明子さんが大笑い。

「あっはっはっ、二人とも相変わらずだね~。花笑ちゃんが呆れてるよ~!」

二人がずいっとこちらを凝視するからいたたまれない。あはは…と苦笑い。

「おじゃま~。航たち来てるだろー」

< 205 / 272 >

この作品をシェア

pagetop