先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~

みんなでラウンジに移って事の顛末を聞いたのだけど、なんと、発注ミスは有山ホテルの方だったそうだ。
対応してたのが新人の女の子だったそうで有名な作家先生のことも知らず書き間違ったそう。

「取り合えず俺の間違いじゃなくって良かった~」
という置田くんに
「バカが!作家の名前も聞いてたんだから何周年かくらい把握しとけ!確認作業を怠ったんだから結局お前のミスだ!」
と、課長からお叱りの言葉が。

「はい、すんません…」としょんぼり

その後、山片さんはホテル側に申し立てすることもなく、みんな協力してワインを探しているからできるとこまでやりましょうと言って、ホテル側の人達にもテキパキと指示して、自分も走り回って今朝全てが揃ったのを確認して帰って来たそうだ。

「マジ、かっこ良かった課長…」
しょげてた置田くんがポツリと呟いた。
へぇ、なんか課長のこと見直したな。

「みんな協力ありがとう。助かった」

課長がみんなの顔を見回していった。

「いいえ、当たり前のことをしたまでです、な、みんな」
と小山さんが言うと「はい!もちろんです!」と言って嬉しそうだ。

いつもは怒ってばっかりの鬼課長もこうやってみんなの功績は素直に称えてくれる。
恐れられても慕う人が多いのはこの人柄だからかもしれない。
花笑さんの課長は優しい人と言うのもわかる気がする。
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