先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
航said
-----
---

車の中

花笑のマンションに送ろうと思ったが、あそこはエレベーター無しの3階。
さすがに寝ている大人を3階まで運ぶのはしんどいと思った俺は自分のマンションへと向かった。

赤信号で止まって助手席を見ると、僅かに身動きをしてうっすらと目を開けた花笑。
まだ酔ってるようで、目を宙にい浮かせていたが、こちらに気づいて

「あれぇ~こうくんがいるぅ~」

ふふふっと笑って潤んだ目でこちらを見つめてくる。

俺は花笑の頭をぐしゃぐしゃと撫でて、
「この酔っぱらいが」
と言ってやったけど、ふふと笑ってまた寝てしまった。
やれやれ。
ため息をついてまた車を発信させた。

マンションに着き起きない花笑を横抱きにして部屋まで入った。
この部屋は2LDKで寝室と書斎兼物置、対面キッチンとコンパクトながら一人暮らしには少し広い。
1年前課長昇進を期に引っ越してきた。
俺一人では贅沢な部屋だが自分を律するには丁度いい。ますます仕事に邁進するだけだ。

リビングの電気を付けたところで花笑が目を覚ました様だ。

「こ、こうくん?あれ?ここ?」

「俺のマンションだ。寝てるお前を3階まで運ぶのはさすがにしんどいからな、こっちに連れてきた。こっちはエレベーターあるし」

「う、ゴメンナサイ。ご迷惑を…あれ?知佳ちゃんは…?」

< 63 / 272 >

この作品をシェア

pagetop