【完】さつきあめ
小笠原はここらでもちょっとした有名人だ。
うちのお店の1番の上客といっても過言ではない。
惜しみなくお金を使うけれど、常識的な人でもある。
わたしがそこまでおねだり上手ではないこともあるかもしれないけれど、わたしのお客さんは良い意味で常識的な人が多かった。持っているお客さんが良いと言われ所以だ。
「でも、あたし、指名ちょー入ってるよ?」
「だから10分だけだよ!
有明さんからの指示なんだ。 その社長と知り合いの社長が有明さんと仲がいいみたいで、シーズンズを接待で使ってくれてるんだけど、さくらと綾乃だけはどんなに指名がかぶっていてもちょっとだけでいいからつけろって」
指名が被っている女の子はフリーについている暇はない。
だから時たま、お店が絶対にお客さんにしたい席にはナンバーの女の子は隙間を縫って着くようにしていることがある。
「光が……」
綾乃とあたしだけは指名が入ってても10分はつけろ、なんて
それは期待されている証拠。綾乃のことも、期待しているということか。
「あ、あの人だよ。VIPあいてなかったから、残念がってたよ」
高橋が示した方向に、スーツを着ている中年の男性とカジュアルな服装に身を包んだ若い男の人が座っていた。
「あの人…?」
「そう!お金持ちな上に、すごいかっこいい人だよね。有明さんよりかっこいいかも…」
「そんなこと…」
そんな事はない。
でもそのカジュアルな服装に身を包んでいる33歳には決して見えない男は、パッと見ただけで人目を引くような容姿の整った男だった。
優しげなのに自信に満ち溢れている。全体的なオーラが、少しだけ光と出会った頃に通じるものがあった。
単純に、わたしがこの手のタイプの男が好みだっていうことなのだろうけれど。
オーラはあるけれど、若くして成功して飲食店を何店舗も経営しているような男には見えなかった。その手の人間は朝日のような攻撃的なタイプが多いと感じていたからだ。
うちのお店の1番の上客といっても過言ではない。
惜しみなくお金を使うけれど、常識的な人でもある。
わたしがそこまでおねだり上手ではないこともあるかもしれないけれど、わたしのお客さんは良い意味で常識的な人が多かった。持っているお客さんが良いと言われ所以だ。
「でも、あたし、指名ちょー入ってるよ?」
「だから10分だけだよ!
有明さんからの指示なんだ。 その社長と知り合いの社長が有明さんと仲がいいみたいで、シーズンズを接待で使ってくれてるんだけど、さくらと綾乃だけはどんなに指名がかぶっていてもちょっとだけでいいからつけろって」
指名が被っている女の子はフリーについている暇はない。
だから時たま、お店が絶対にお客さんにしたい席にはナンバーの女の子は隙間を縫って着くようにしていることがある。
「光が……」
綾乃とあたしだけは指名が入ってても10分はつけろ、なんて
それは期待されている証拠。綾乃のことも、期待しているということか。
「あ、あの人だよ。VIPあいてなかったから、残念がってたよ」
高橋が示した方向に、スーツを着ている中年の男性とカジュアルな服装に身を包んだ若い男の人が座っていた。
「あの人…?」
「そう!お金持ちな上に、すごいかっこいい人だよね。有明さんよりかっこいいかも…」
「そんなこと…」
そんな事はない。
でもそのカジュアルな服装に身を包んでいる33歳には決して見えない男は、パッと見ただけで人目を引くような容姿の整った男だった。
優しげなのに自信に満ち溢れている。全体的なオーラが、少しだけ光と出会った頃に通じるものがあった。
単純に、わたしがこの手のタイプの男が好みだっていうことなのだろうけれど。
オーラはあるけれど、若くして成功して飲食店を何店舗も経営しているような男には見えなかった。その手の人間は朝日のような攻撃的なタイプが多いと感じていたからだ。