【完】さつきあめ
「まぁかっこいくてラッキー。
ちょっとお化粧直しに行ってきまぁす!」
「さくら、早くしろよな!指名がかぶってるんだから!」
「はいはい」
とりあえずリップグロス引き直そう。
あの社長の席についたら何話そうかなーと考えながら、化粧室に入ると
「あら」
そこには綾乃の姿があった。
「綾乃ちゃん……」
綾乃は鏡越しからわたしの姿を確認して、ファンデーションの蓋を開ける。
「なんかすごいお客さんが来てるみたいね。
有明の指示で、さくらとあたしをつけるって」
「あーねー…」
「さくらには荷が重いんじゃないかって、有明に話してたんだけどね」
それは今日あの社長さんが来るって事を事前に光から聞いていたように聞こえた。
本当は光と呼ぶくせに、わざと有明って呼んだり、ここ数週間で、綾乃の事がすっかりわからなくなっていた。
「さくらはまだこの世界に慣れてないんだから」
あんなに優しかった綾乃が、いつも応援してくれた綾乃がこんなにも変わってしまった。
それがすごく悲しくて…。
光と綾乃が付き合っているより、そっちの方がずっとショックだった。
「まだ慣れてないかもしれないけど
綾乃ちゃんより接客は上手じゃないかもしれないけど
あたし絶対に綾乃ちゃんに負けないよ…」
鏡越し、綾乃が目を丸くした。
自分の方が光の事を知っている。
自分の方が光から愛されている。
わたしが欲しくてもがいても決して手には出来ない物を、綾乃はすべて持っている。
それならばナンバー1は絶対にわたしがなる。
お店に選ばれる存在に、わたしがなる。
ちょっとお化粧直しに行ってきまぁす!」
「さくら、早くしろよな!指名がかぶってるんだから!」
「はいはい」
とりあえずリップグロス引き直そう。
あの社長の席についたら何話そうかなーと考えながら、化粧室に入ると
「あら」
そこには綾乃の姿があった。
「綾乃ちゃん……」
綾乃は鏡越しからわたしの姿を確認して、ファンデーションの蓋を開ける。
「なんかすごいお客さんが来てるみたいね。
有明の指示で、さくらとあたしをつけるって」
「あーねー…」
「さくらには荷が重いんじゃないかって、有明に話してたんだけどね」
それは今日あの社長さんが来るって事を事前に光から聞いていたように聞こえた。
本当は光と呼ぶくせに、わざと有明って呼んだり、ここ数週間で、綾乃の事がすっかりわからなくなっていた。
「さくらはまだこの世界に慣れてないんだから」
あんなに優しかった綾乃が、いつも応援してくれた綾乃がこんなにも変わってしまった。
それがすごく悲しくて…。
光と綾乃が付き合っているより、そっちの方がずっとショックだった。
「まだ慣れてないかもしれないけど
綾乃ちゃんより接客は上手じゃないかもしれないけど
あたし絶対に綾乃ちゃんに負けないよ…」
鏡越し、綾乃が目を丸くした。
自分の方が光の事を知っている。
自分の方が光から愛されている。
わたしが欲しくてもがいても決して手には出来ない物を、綾乃はすべて持っている。
それならばナンバー1は絶対にわたしがなる。
お店に選ばれる存在に、わたしがなる。