【完】さつきあめ

「ONEの店長……?」

深海は無言のまま頷いた。

「もうONEの店長ではないけどね」

笑いながら原田は言った。

そうだ、引っ越しの時にはるなたちと話していた。
ONEの店長が部長になって、光とお店を分けて担当すると。

原田はわたしが想像していた夜の黒服とは少しかけ離れていた。部長と聞いて更にびっくりするほど幼い少年みたいな人だったから。へたすればわたしと同い年くらいに見える。そんな人が、新しい部長という事実に驚きだった。

「新しく七色グループの部長になった原田大樹って言います」

「こんなに若いのに?!」

深海に言ったら、朝日はその場でお腹を抱えて大笑いし、原田は子供みたいに頬を膨らませた。

「若いって…。もぉ23歳なんだけどなぁ」

「23歳?!同い年くらいかと思った!」

びっくりしすぎて、思った事がついつい口から出てしまう。
再び朝日は大笑いして、深海は無表情のまんま、原田は「さくらちゃんが老けてるんでしょ」とぼそっと呟いた。

とりあえず、この状況は何なんだ。
朝日と新しく部長になる原田。そして深海に囲まれて事務所にいる。深海はいつも以上に寡黙だし、目の前にいる2人な胡散臭い。

少し間が置いた後、朝日が信じられない言葉を口にした。

「さくらは、THREEへ1月から移動になる」

「は?!!!」

「で、今年からTHREEと双葉は原田の管轄になるから、まぁ先会わせておこうと思ってな」

「よろしくね、さくらちゃん。シーズンズでは歴代1位の売り上げを出してナンバー1になったって聞いたから、期待してるよ!THREEでも頑張ろう!」

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