【完】さつきあめ

「なんで…?」

「さくらと光がシーズンズ内でただ思い合ってるだけなら良かったの…。
でもあなたがシーズンズでナンバー1になって、七色グループで目立ち始めたら、宮沢さんの目に止まるような事があれば、何となく悪い事が起こるような気がした。
…何となく悪いような事が起こるかもしれない予想は当たってたけどね…」

「悪い事?」

「いま、実際起こってるでしょ?
さくらは宮沢さんに目をつけられて、光とはあまり関わることの出来ない環境に置かれようとしてる」

綾乃は全てわかっていた。
それはわたしの予感していた通りだった。

「宮沢さんは欲しい物は何でも手に入れる人で、光は宮沢さんに逆らえない。
自分とさくらを遠ざけようとしたのも、全部さくらのためなのよ」

「あたしのため?!」

「光はずっと、宮沢さんからさくらを守ってた。
さくらお願いがあるの、さくらが本当に光の事が好きなら、その気持ちは自分の中に留めておいて、光から距離を置いて欲しいの」

「…なんで、嫌だよ、そんなの…。
あたし光の事が好きなんだよ?光もあたしが好きだって言ってくれた。それなのに何で宮沢さんのためとか、お店のためにその気持ちをおさえなきゃいけないの?」

綾乃は悲しそうに瞳を揺らす。
でも悲しいのも、納得がいかないのもこっちの方だ。

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