【完】さつきあめ
「B型の牡羊座かぁ。光くんと一緒だね!」
ごく自然に光の名前を口にして、一瞬驚いた。
血液型と星座が光と同じだった事さえ知らなかった。
でもそれをゆいが知っていて、光をごく自然で名前で呼んだ。
この時わたしは相当怖い顔をしていたかもしれない。
「ふふふー、さくらってすぐ顔に出るんだぁー」
ゆいは悪びれなく笑った。
「え?!」
「光くんの名前出したら、すーぐ嫌な顔になったぁー!
やっぱ付き合ってるって噂は本当だったんだねー。THREEの女の子の間でも噂は持ち切りだったよ?社長の女だから贔屓されてる!とか、社長の女だから良いお客さんばっか紹介してもらってナンバー1になった女だとか」
「なっ…」
まずわたしは光の彼女でも何でもない。
そして付け加えると光は彼女であろうがなかろうが贔屓をするような人じゃない。
それにわたしがナンバー1になったのはお客さんや周りの助けもあったかもしれないが、自分でつかみ取った物だ。
「下らないよね。
誰の女だから贔屓されてる、とか。
それなら凛さんだって一応原田さんの彼女なんだから、言えないじゃんね。
本当に下らないー…」
ふわふわとして女の子らしいかと思えば、さっぱりとしていて嫌味がない。
ゆいの考え方は嫌いじゃなかった。