【完】さつきあめ

「てか、贔屓とかされてないし…
むしろ光の彼女でもないから…皆勘違いしすぎだよ…」

「えー彼女じゃないのー?じゃああたし光くんの事狙っちゃおうかなぁー」

「え?!」

「ぷぷー!本当にさくらってすぐ顔に出るねぇ。
光くんの事めっちゃ好きなんだねー。
あたしは光くんとは何でもないよぉ!あたしがスナックで働いてた時代にお客さんと一緒に飲みに来てくれたのが、光くんなの。
今より時給が高くなることと、頑張れば頑張るほどお金が貰えるって聞いて七色に入ってきたんだぁ~…。最初はクラブって女の子同士のしがらみがありそうで嫌だったんだけど、入ってみたらまぁ無視してればいっかなぁって感じで、別にナンバー1になりたいとか全然思ったこともなかったし、まぁ凛さんには何もしてないけど嫌われてるみたいだけど」

「そりゃー、新人であんなに指名取れてたら凛さん的には面白くないんじゃない?」

「でも指名取れるのあたしのせいじゃないんだもんー…。
凛さんのお客さんも、ヘルプに着いたら何もしてないのに次からはあたし指名とかよくあるし、いざこざが嫌だから止めてって言ってるんだけどなー。
あたしはそれなりの給料もらって適当に仕事してるのが合ってるよー」

ゆいの話し方には全然嫌味がない。
綾乃の言う通り、彼女みたいなタイプが天性のキャバ嬢気質の持ち主なのかもしれない。

「ゆいは男の人に興味ないの?」

「あははー、なにそれ、レズでもなんでもないよー。
でも彼氏はいない!あんまり人を簡単に好きになれないっていうかなんていうか」

「どんな人がタイプなの?」

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