【完】さつきあめ
そうなのだ。わたしは皆にも言われる通り、見た目が王子様系の男がタイプなのだ。
光だって、桜井だって…。
「社長も会長も王子様系だもんね」
その言葉に一瞬耳を疑った。
「宮沢さんが王子様系?!」
「あら、あの人って黙ってればそういう系統じゃない、話せばただのチンピラかもしれないけど」
凜に言われて初めて気づいた。
確かに朝日は黙っていれば綺麗な顔をしていて、見る人が見ればそうも見えるのかもしれない。うーんと考えこんでいるわたしをよそに、凜と涼は話し始めた。
「涼くんは何歳?」
「19歳です」
…わたしと同い年。
「へぇー若ー…。って全然やる気なさそうだけど、やる気だせーい!」
「すいません。キャバ嬢って嫌いなんで」
お客さんを前に、涼は気持ちがいいくらいはっきりとそう言った。
思わず可笑しくてぶっと吹き出す。
見た目は王子様でも、不愛想なそのギャップが可笑しかった。
「あ、ごめんなさい、はっきり言っちゃって」
「いえー別にー涼くんに嫌われたってあたしには何のダメージもないものっ!
でも何でキャバ嬢が嫌いでこの仕事してるの?お客さんキャバ嬢多いでしょ?」