【完】さつきあめ

ニヤニヤ笑う凛と、誤解だと弁解するわたし。
遥はそのやり取りをただにこにこ笑いながら聞いていた。
その時、遥を呼びにくる男がいた。

「あ、ちょっと俺席外すね~、代わりに新しく入った男の子置いていく~。
凛さん、可愛い子でしょ?」

「タイプじゃない…。
まぁ誰でもいいわ」

タイプじゃない。とはっきり言い切った。
小難しそうな顔をしながらわたしたちの前に座る男の子は、確かに凜のタイプとはかけ離れている。
凜は背丈も小さめで、童顔な男の子が好みだと、原田と遥を見てわかったからだ。対する目の前に座った男の子は、背も高くて、可愛らしい顔というよりは綺麗な顔をしている男の子で

「涼です」

と一言だけぶっきらぼうに言った。

涼と言った男は、とにかく綺麗な男の子だった。
スタイルが良くて、目が印象的。少し長めの茶色の髪が目にかかっていて

「なによ、さくら」

「へ?」

「あんたってわかりやすいわ、やっぱり」

「何がですか?!」

凜がそっと耳打ちをした。

「あんた、ほんと王子様系が好きね」と、

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