【完】さつきあめ
「そう言えばどんぐりみたいに大きな目と、笑った顔が2人よく似てるわね」
凛も私たちを見てそう言った。
その後も涼と色々な話をした。
18歳の時に上京してきて、ガテン系の仕事についてて、キャバ嬢だった年上の元カノと付き合っていた事。
こちらに来る前は雪深い田舎に住んでいた事。
地元さえ違えど、親近感がわくほど、私たちの境遇はよく似ていた。
それに、こっちに来て夜の人間に恋をして翻弄されるところまで似ちゃってるし…。
気が付けば、私たちはすごく仲良くなっていた。
「さくらとはなんか運命的なものを感じる」
そんな照れ臭い言葉を王子系の涼がさらりと使うと、ときめかない女の子なんていないのではないのだろうか。
「いやー、涼、そういうのもっとお金使ってくれそうなお客さんに言わないと…」
「そうなの?」
「そうなの!涼のお仕事はお客さんを喜ばせる事でしょ~?」
「でも俺ホストじゃないし」
「まぁ、確かにね…。
その、元カノさんはホストと浮気したの?さっき夜の仕事してる男の人って言ってたから」
「ううん、ホストじゃないよ。さくらたちのお店にもいるじゃん?黒服ってーの?そういう感じの人とだと思う。俺も詳しい事知らないけど」
「黒服、さんか。じゃあ風紀だね」
「風紀?」
「うん。お店の女の子と黒服さんが付き合う事を風紀っていうの。
だから建前では黒服はお店の女の子に手を出したらいけないっていうことになってるの」