【完】さつきあめ

知らなかった。
朝日の家庭の事情なんて聞いた事もなかったから。
そんな事を言わせてしまった事に胸が痛んだ。

「ごめんなさい…あたし無神経な事言いました…」

「いや、嬉しいよ。
こんな変なケーキ貰うこと人生でそうそう経験出来る事でもねぇし
それにお前、俺の名前知ってたんだな」

朝日の名前は、昔光から聞いた。
わたしの本名は夕陽。夕陽と朝日だねっていつか光が言っていたからだ。
でもそれは余りにも無神経すぎるだろう。言わないでおいた。

「まぁ、名前くらいは」

「まぁ、宮沢さんケーキ食べましょう。俺切りますねー」

「おい小僧!このケーキ切ったらもったいなくないか?!」

「いや、食べない方がもったいないでしょ…」

「でも可哀そうじゃねぇか?!」

「可哀そうって、何歳っすか…。
あ、29歳になったんですよね?ほんとーおめでとうございまーす。
俺はさくらと同じでまだ19歳ですけどー」

「あぁ?!」

せっかくいい雰囲気だったのに、涼の一言で台無し。
その時わたしの携帯が鳴った。
言い合いをしてる2人をよそに、さりげなくトイレに逃げてきた。


「さくら、まだ仕事?」

着ていたラインは光からで、あの日病院で再会してから、毎日のように光からラインや電話が来ていた。
まだ会えないから。せめて連絡は毎日する、と約束通り光は毎日何時でもわたしへの連絡は欠かさずにしてくれた。

「いま飲みにきてる」

「へー誰と?」

「美優ちゃんとはるなちゃん!」

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